中山峠と夜泣き石伝説

小夜の中山峠は、なだらかな二つの山の尾根道である。
69歳の西行法師は2度目の峠越えで次の句を詠んだ。
年たけて また越ゆべしとおもいきや いのちなりけり小夜の中山
西行は若き日この地を越えたことを思いだし、これまでの日々を回顧しながら命の尊さを詠った。

小夜の中山峠道

中山峠には子育て伝説も伝えられている。
昔、大きなお腹をした女が夜の峠を越えようとした。そこに暴漢が現れ女を切り殺し金を奪って逃げた。女は息絶えたが傷口から赤ん坊が生れた。

赤ん坊は産声を上げられないほど弱っていたが、わが子を思う母の一念が通じたのか、傍らにあった大きな丸い石が泣き声を上げはじめた。この泣き声で赤ん坊は村人に救い出され、母乳の代わりの飴で育てられたという。

丸い石はその後も夜になると泣き声を上げ「夜泣き石」と呼ばれた。

小泉屋裏手の夜泣き石

夜泣き石は、広重版画のように道の真中にあったが、現在は国道1号線沿いの食堂・お土産屋「小泉屋」の裏手にある小公園に置かれて子育ての母心を今に伝えている。