十返舎一九の世界

「東海道中膝栗毛」は、江戸後期の享和ニ年(1802)に出版された滑稽本で、ひょうきんな弥次郎兵衛と喜多八が江戸品川を振り出しに東海道を下り、伊勢参りをすませ、京大阪を見物するという道中もので、大ベストセラーとなった。






これは、この時代に各地に寺子屋ができ庶民も文字を読めるようになった影響である。


黄表紙や滑稽本などの出版が相次ぎ貸本屋が繁盛する時代でもあった。


こんな中、十返舎一九は武家社会の儒教的な道徳観念を笑い飛ばすかのように、自由で愚かで下品な主人公をつくりあげた。


その内容も飯盛り女という旅人相手の女郎買いや夜這いの話で会話の多くは、卑猥である。


人々は、弥次と喜多の馬鹿げたふるまいにカタルシスを感じ共感しのである。

これは、少年少女時代に読んだ弥次喜多道中とは違った内容であり、戸惑う向きもあろうが、この破天荒な主人公の物語を理屈抜きで楽しんでいただきたい。


重田家歴代の墓


戯作者十返舎一九は駿河国の府中(静岡市)で、同心の家に生れた。
父は重田幾八、母はこうといわれている。また旗本小田切土佐守直年の庶子ともいわれている。

この重田一族の墓が今も静岡市砥屋町の医王山顕光院にあって、ご子孫が守っている。

また十返舎一九は、天保ニ年八月七日没した。享年六十九歳、東京都中央区の東陽院に静かに眠っている。






引用文献
雑誌「静岡の文化」 42号
特集・十返舎一九の世界